テジナの泉

手品関係のほぼ自分用備忘録として。

The Preference Engine

『The Preference Engine』 ,Tomoya HORIKI ,2017 ,書籍

 

2017マジックマーケットレビューシリーズの最終段は、ライフを生贄に手品を作り出す系マジシャン、もやしことふーこと堀木さんの冊子です。

 

・好きな技法の紹介(コツ含む)

・(もうそう)奇術構成論

・手品を言葉に変換する

+ボーナス

 

という構成になっており、手順の解説などはありません。

 

でもこれめっちゃ面白いんです。

 

好きな技法の紹介コーナーは、その知識から資料を交えつつ普通に参考になるコツなども記載されており、読み物として面白く、そして有用です。

 

奇術構成論については、「棲み分け」のお話を踏まえつつ、マニアをだますとは、不思議とはについて語っています。(ちょいと過激な表現もありますが)非常に面白い。

ここで語られているのは、非手品人に何を見せるか、どうやったらウケるか…という悩みに対する回答ではありません。そういう人は別の資料をみるとよろしいでしょう。

しかし「自分の手品をどのようにみられたいか」というのは少なからず意識すべきポイントで、そういった疑問の道しるべにはなるのではないでしょうか。

 

まあ僕もできていないんですけども。

 

手品の言語化についてのセクションは、「言語化」とはあるが、テジナをわかりやすく解説する方法! ではないです。

実際は技法の要素をどう分解し、どこが重要なのかを探る旅の方法です。

しかし言語化というのも嘘ではなく、今回ではリテンション・バニッシュを例に、スロー再生とほとんどの人がしたことがないであろう「早送り」にも焦点を当て、技法の違和感、技法の重要なところ、本人が「まあこんな感じにやるのが重要」となんとなくで捕らえているであろう部分に対する「言語化」を図っています。

面白いしか言ってないけど面白いです。

 

 

ボーナスとしてはあたまを使う技法「脳みそ技法」が紹介されています。

やってみました。

がんばれそうな気がしないでもないです。

ちなみにガイガーカウンターカードが題材です。

 

 

 

 

いやー面白い読み物でした。

実体版はもう絶版で再販予定はないそうです。でも電子版はあるので気になった方はぜひ読んでみてください。お勧めです。

 

最後にこの本に書かれた言葉を引用してレビューを終わりにしたいと思います。

 

 

 

『あなたの手品は誰に見せたいのですか?』
『またそれは、どのような驚きを与えたくて考えたものですか?』