テジナの泉

手品関係のほぼ自分用備忘録として。

“コイン遊戯人”4人組による作品集!

『Tetra Touch』,CoinLudens,2021,DLC

 

TwitterInstagramSNSで突然現れたナゾのグループ、「CoinLudens」がマジックマーケット2021・春で頒布した動画コンテンツです。

このグループを構成する4人のメンバーが、1人1つずつ自身の作品を実演・解説しています。

 

動画では実演→解説となっており、所々で技法や動きにフォーカスがあたり、それぞれバックビューと字幕で丁寧に解説されています。全体的に動画がオシャレで見やすく、動画のみで十分理解できると思います。

 

さらに動画の最後のクレジットもきちんとしており、どこがどういうふうに影響を受けたのかが載っています。

 

4人の演者全てうまく,綺麗でレベルが高い方々ですが、実際解説されているトリックの難易度は超絶技巧で手が出せません! ということはなく、(結構頑張れば)できる内容となっております。(自分ができるとは言ってない)

 

なお、日本語版、つまり日本語字幕の補足解説付きはマジケ限定となっているようで、今後再販される場合はこの部分は無くなってしまうようです。

動画だけでも理解できますが,日本語補足がないと少し細かいところの理解が難しくなるかもしれません。

 

美しいハンドリングの手品が見たい方、この4人のファンの方、そしてコイン遊戯人の方々におすすめできます。

 

 

 

以下個別作品について。

 

・3FLY+ by風希

笑顔が素敵な風希さんによる3FLYですが、最後の部分で一捻りしてあります。

まずは演技映像で騙されて楽しんでほしいです。初見ぎょっとしました。

 

風希さんは、テクニックや動作自体が綺麗なのはもちろんなのですが、ボディランゲージ(今回だと3枚目のくだりあたりとか)がしっかりしていて、まさに演技、という感じがします。

 

動作の要所要所に細かくサトルティが入ってたり、ディスプレイにぎりぎりまでこだわってたり、さらにともすればこのプロットで軽視されがちな「音」を取り入れてさらにディセプティブになっていたり、よくできた手順だと思いました。

 

 

・Secret Spellbound byたむたむ

やたら上手い人、というイメージがある方です。実際上手いです。そんなたむたむさんによる、テンポよくそれでいて見やすくぬるぬる変わっていくスペルバウンドルーティンです。

 

リズム良く変化するので、ちゃんとできればやってる方も楽しくなってくると思います。

 

裏から見ると楽しい系でもあります。

 

まずやわらか穴あきコインを準備せねば。

 

・Between Cards byラル

Impossible co.から、『エメラルド』という作品集を出されたコインマン、ラルさんによる、2枚のコインの間からコインが次々に現れるという作品です。

本作品集で1番のお気に入りです。

そして多分1番簡単です。

 

2枚のカードを片手でもち、その間からコインが1枚ずつ、計4枚現れます。

これ本当に不思議でした。

 

ふーさんのあれに着想を得たそうで、確かに見た目近いなぁと。

 

以前ご本人に「スリップスルーコイン」も見せていただきましたが、これも素敵でしたし、『エメラルド』も良かったし、これからも追いたい方ですね。

 

・Open Traveler by千歳

以前『hydrangea』という素敵作品集(おすすめ)も出された、千歳さんによるオープントラベラー(のような)トリックです。このトリックだけコインが使われていません。

 

おーぷんとらべらーがあると聞いては買わないわけにも行かず購入の決め手となりました。

そもそも千歳さんのトリックはかなり自分に刺さるので……

 

構成がユニークで,一段目の何もないところに一枚目がプロダクションされるところがかなりビジュアルです。また、最終段で用いられている動作も面白く、他のトリックにもなんかうまいこと使えるような気がします。

 

途中の2枚目を隠すアスカニオスプレッドのバリエーションも綺麗でまた使いでもありそう。

そして全体的に際どい技法も動作も上手くて綺麗(全員共通ですが)。しゅごい。

 

 

 

ただ、これに関しては最初に演技映像をみて、(部分の現象は不思議という前提で)まず「なんで4枚のアレじゃないんだろう」と思ってしまい、そもそも4枚が1枚ずつ飛行するトリックであって、4枚のアレが飛行するというトリックじゃないのかな? と考えてしまいました。

つまり、1枚のコレと3枚のアレを使った手品、ということなのか、と感じました。

 

思うに,MSという考え方と絵札かつそのカード自体にフォーカスされてしまうオープントラベラーというトリックとの相性があまり良くないような気がしました。

Aだったらどう感じたのか、自分でも気になるところです。

 

ビジターならサンドイッチされるカード、Aのオイルアンドウォーターならばスートと色にフォーカスされうるけれど……。

うーむ。どうだろう……。

 

個人的にそこだけどうしても気になってしまいました。

 

 

 

全体的にハイレベルで何かしらの刺激は受けられる作品集だと思います。カード版もなにやらうごめき始めているようですし、どちらも今後がとても気になりますね。