せぶごと
『せぶごと』 ,せぶん、ごと ,2017 ,冊子
脳内補完でタイトルを『せぶ☆ごと!』と思ってました。アニメのタイトルではなく、テジナ冊子です。
せぶんさんとごとさん、2人のマニアが4つのプロットに対し、それぞれ作品を考えるというなかなか面白いコンセプトの冊子です。こういうの、やってみたいですね。
それぞれの好みが出てとても同人らしい仕上がりになっていると思いました。
トリック解説後のお二人の対談が特に面白く、その部分もかなり楽しめます。
以下プロットごとの感想を。
①back off
お二人で枚数がまず違います。
個人的には5枚まで派ではありつつも、現象としては6枚バージョンの方がやってみて好みでした。この手のものとしてはとても簡単に仕上がっていますし、わかりやすいです。
そもそもback off自体そんなに好きではなかったのですが、これはちょっとやってみたいかなと思いました。
②Four to One
ここでせぶんさんのレギュ違反()が!
というのはそれなりの理由があって、ここもこだわりというか、理屈がきちっとしている印象でした。
そして作品は賢い感じで、好みです。本人も言うように再利用する部分がアツイです。
ごとさんのはレギュ通りのフォートゥーワンで、こちらもすっきりまとまっています。肝心のチェンジ部分が良い感じ。
③La Dama Inquieta(フライングクイーン)
好きなプロットきてしまいました。このごとさんのタイプについては当時まさに考えていたところで、きっちり完成されていてぐぬぬってなりました。
どちらも良くできていて、しかもそこまで難しくないのが素敵。どちらもお気に入りの手順です。
すばらし。
④Oil & Water
もう同じことしか言ってない気がするのですけど、どちらもよく考えられててすごいです。
どちらもちょっとしたギャフというか加工というかを必要としますが、それに見合う程度の手品ができます。
個人的にはやはりぐるぐるがインパクトあって好きですね。
2人ともマニア力が大変高く読んでいてとても楽しい冊子でした。
第2弾はないんですかね!
Ethanol vol.2
『Ethanol vol.2』 ,東北大学クロースアップマジック同好会 ,2017 ,冊子
元ネタと同じく1で終わりかと思われたあの名冊子(持ってない)Ethanolのまさかの続編。これにて元ネタを超えましたね。
それはそれとして、こちらは東北大学クロースアップマジック同好会の方々による、「クソネタ」集です。「クソネタ」の定義はもうよくわかりませんが、この冊子には紛れも無いクソネタ(失礼)と全然クソじゃないネタと、そしてなんかもうそもそもテジナじゃないものが掲載されています。バリエーション豊かなオムニバス冊子です。
量が多いので気になったものへ簡単な感想を。
・回転椅子で当てるカード
先頭バッターいきなりぶっ込んできた感あります。何気にこれ好きですw
・Triangle Assembly
とにかく難しい! しかしここで使われているバニッシュ?は結構すごいのでは。
なんと3枚が一度に目の前で消えて、アセンブるわけです。すごい。
・Crash Change
ある原理を使ったカラーチェンジ。
可能性が秘められているようなそうでもないような……。複数枚の時の図がインパクトあります。
・Psychokinepick
あるものを使ったホーンテッドデック。
や、これいいんじゃないでしょうか。
原理としては古典の人体のある部分を使った同様な現象に近いです。意外と研究しがいがあるテーマかもしれません。
・カードスルーザ紙コップ
かなりパワータイプのカードスルーです。
そこの高級デックを持っているあなた。ぜひやってみましょう。
・hpmuirT
どこかで出ると思った逆再生テジナ。
これ自体も興味深いのですが、シカ・ルーフなりサドヴィッツのバックワードなり、逆向きの手順というのは研究対象で、今後も色々考えていきたいところです。
しかしこれも大変だ…
・マインスイーパー
パズルです。
・ネモニカバトル
ゲームです。
・VIP Reset
見えないカードと見えるカードが入れ替わる!
ちょっと触発されました。少し考えてみたいところ。
・Deus 〜
用意がとても大変。しかし一度はやってみたい気にさせてくる手品。ものは大体作ったのですが、未だに人にやってません。
・アンチ手品宣言 他
手品じゃないなにかの集合。
個人的にはYour Cardが好きです。アンビについてはこれバーとかで下手したらやってそうな人いるんじゃないでしょうか。勿論やってたら張り倒したくなるのはいうまでもありません。
濃厚で意外と真面目(?)な冊子でした。
レパートリーを探している人には一切おすすめできませんが、アイデアは刺さる人には刺さりそうです。真面目な手品話に飽きてきたあなたにおすすめです。
マジケ2018では最終章がでるのだとか。
ところで最終章のあとにはリターンズとかアゲインとか来ないのでしょうかね……。
Pulp Fiction
『Pulp Fiction』 ,Hiroshi Minakata ,2017 ,冊子
マジックマーケット2017で頒布された、東北大学クローズアップマジック同好会(クロマドウ会)のOB、電子の海ではガンビー教授という名を持つ方による、作品と技法のレクチャー冊子です。
クロマドウ会には、大学サークルには珍しく(?)テジナマニアが集っているようで、この冊子も中々の良いマニアアロマが漂ってきます(褒め言葉)。
ラブアダブダブバニッシュについて、文字でとても詳細な解説をされている、珍しい冊子です。というか全体的に解説が細かいポイントまで書かれており、こだわりを感じます。
では以下で全体的にざっとした感想を。
・One Card at Whim
「うっかり」を利用したそこはかとなくずるさがあるテジナ。慣れるまでは少し怖いかもしれませんが、確かに錯覚が強そうな気はしました。普段からうっかりしてる人におすすめ。
・Split
観客が決めたエースだけがポケットに飛行。
これまたずるさを感じる、素敵テジナです。
これめっちゃ好きです。この冊子の中でたぶん一番好きです。
技法的な難しさはありませんが、演技面ではそれなりの練習と力が必要でしょう。
とてもよく考えられています。イチオシ。
(誤記で)なぜかエースが最後にキングに変化していますが、些細な問題です。
パケットトリックが好きな理由は共感しました。いいですよね。パケット。
・Metabolism
スポットカードとエースの交換現象。
この手順も比較的簡単なのではないでしょうか。リセットしないリセット、というコンセプトのようで、この辺りが好きな人は要チェックですよ!
・ドロッピングという技法と手順
元はペンで使っていた技法の、カード版だそうです。所謂ポケッティングの一種でしょうか。
ステージでよく使われる技法に似ています。
きちんとこなすのはかなり練習が必要だと思います。
・ラブアダブダブバニッシュ
この技法についてここまできちんと考え解説されたことがあったか、少なくとも僕には記憶にありません。10ページに渡り、詳細に解説されています。
この技法が好きな方は必見だと思います。おすすめ。
なんか上手くなった気がします。気がするだけかもしれませんが。
・「ラストトリック」について
所謂ラストトリックのバリエーション。
どちらかというとメインはセリフと心理誘導のお話かもしれません。
これだけに限らず、手続きの細かい事情についてしっかりと書いてあり、非常に読み応えがあります。
これで1000円ですってよ。
実質無料みたいなものです。
新作がマジケ2018で出るようです。これも1000円だそうで。実質無料です。
テジナ人1人の細かいこだわりを読みつつマニア気分に浸りたい人におすすめのシリーズになりそうです。
Spice of Magic
『Spice of Magic』 ,BAKA_MAGIC ,2017 ,冊子
マジックマーケット2017にて頒布された、東京大学奇術愛好会のOB5人による、作品・コラム集です。とーだいですってよ。これだけで強そうな気がしませんか?
クロースアップや、マジケでは珍しいステージマジックのアイデア集、さらにいくつかのコラムが掲載されており、なんと弁護士の方のコラムまであるというバラエティ豊かな冊子になっています。
名前がバカとついていますが、中身はいたって真面目です。
・The Perfect Stop Trick
いきなり原理系で殴られました。現象はよくあるストップトリックですが、原理に工夫が施されてあり、手品人でも初見では追えなさそうです。先頭バッターはなかなかの強敵です。
・水と油 オリジナルver.
『水漏れと油漏れ』のバリエーションを含んだオイルアンドウォーター手順。技術的に簡単に仕上がっていて、すぐにできます。わかりやすい図もついてますね。
・The Action Card Wrapping
“The Action Reverse”の動きからのラッピング。
使えそうです。
僕はこのリバースの動きにはアレなエピソードがありまして、大学二年生頃にトライアンフを練習していた時、「あれこれこんな感じでリバースありでは?」と思いつき、「へへ、これ俺のオリジナル、すなわちオレジナル技法なんだぜ」と息巻いてたところ、後にそれ普通にあるでと指摘されたという恥ずかしい経緯があります。こういうのいくつか経験ありませんか。
この頃同じくラッピングも考えたのですが、ここに紹介されたものとは違い、長辺でそのまま引いて落とすというダイレクトなものでした。こちらに書かれてるものの方がいい気がします。
・Purse and Silver
テーブルホッピングのためのパースとコインのルーティン。意外とこういうトリックの解説って少ない気がします。結構好きです。
よく考えられていて、自分なりにアレンジもできそうな手順です。
最後ジャンボだしたくなる誘惑に駆られます。
・ ○×ゲームの予言
予言とよく知られたゲームのコンビネーションです。
これ楽しいですね。先攻後攻はちょっと別の方法にしたい気もしますが。
こういう、手品外の素材と掛け合わせるものはどんどん増えてほしいです。
・クイック・キューブ
キューブ好きならひとつの操作として見ておくのは面白いかも。
なにげにキューブ紹介サイトがありがたい。
・Leaving Stamps on you
ある有名なアイテムと古切手をつかった、とてもおしゃれなマジック。
こういうのおしゃれなバーとかレストランでやったら自分の格調があがりそうです。
ものを集めるのがちょいとしんどいかもしれません。
・4つ玉のアイデア2種
名前がネタバレになるので伏せますが、あるギミックとその利用法の紹介。そして手順の解説。4つ玉好きな自分にはたまりませんね!
どちらも有用で使ってみたいと思いました。僕はこの手のギミックを(クロースアップでも)直接的に使うのはそこまで好きじゃないのですが、間接的にも使えますし、いろいろやりがいはありそうです。ステージももっと増えていいのよ!
・コラム:結婚式
こういうの待ってました!
とてもすばらしいコラムです。僕も結婚式ではたまにやらせてもらいましたが、いくつか取り入れたいなぁと思ったものもちらほら。
素敵。
・コラム:シュリンクラップ契約による手品の保護
弁護士まっちさんによる手品の法コラム。
とてもいいですね。
学生時代に僕も手品の保護というのを、ちょっとだけ研究テーマにしていました。
大変わかりやすくまとめられています。
ただ、まっちさんもコラムで触れておられますが、実務的にはかなり困難ではないかと思いました。立証の点も、文言の点もなかなか難しい課題を抱えていますし、そもそも実効性の点でかなり厳しそうです。中古も蔓延していますしね。
さらにいえばシュリンクラップ契約自体の有効性も問題になりそうです。
実務的には有効になっているようですが、確か日本では判例ででていなかったはずで、そういった意味でも確たるものとしては言えない気がします。
とはいってもこういった保護を考えることは重要で、今後もこのようなコラムふくめ関係者が色々と議論できたらいいと思います。
マジケ2018でもコラム含めて新作が出ると聞きました。
楽しみです。
マジックマーケット2018に出展します(2)
8月ですね。マジケまでもうわずかです。
書いてる間に手順自体を修正したり、一部掲載を見送ったり、言い回しをうんうん唸って変えたりと、紆余曲折ありましたが、一応完成です。納品はまだですが。
中身のでき云々よりも、出来上がったものが届くのがなにより楽しみです。
ということで「マジックマーケット2018」で頒布するレクチャーノート『Lots of R&B』の案内です。
◇◆◇◆◇◆◇
『Lots of R&B』は、「赤と青のカードを使う」カードマジックを7つ(うち1つはバリエーション)と、『Fragments』と称したボーナストリック3つ(カード2つ、コイン1つ)、計10個の手順を収録したレクチャーノートです。
レギュラーでできるものもありますし、ギャフカード(すぐ手に入るもの)を使ったり小物を使うものもあります。
基本的には自分が好きなプロットについて考えたものを詰め込んでいます。中身の完成度は保証できませんが、実際にどこかで演じていないものは入れていません。
この本の良いところは、ちゃんと出版社で印刷・製本していただいているので、見た目が綺麗に仕上っていることです。
あと恐らくCCC(Charming Chinese Challenge)を文章で解説(わかりやすくとは言ってない)している珍しい本なのかなと。あ、CCCのみ図入りです。文だけだと地獄なので。あっても地獄な気がしますが。
また既に告知したとおり、マジケ限定として札幌の手品人で、バーマジシャンのkeigo君のコイントリックが二種解説されているミニノート『Fragments Extra』をおまけでお付けします。
難しめな二枚のコインの手順と簡単なアクロスが解説されています。こちらはコピ本になります。
価格は1000円になります。
よろしくお願いします。
※2018.8.5追記
1セット限定で、ノートに書かれた手品が一通りできる、デラックスセットを販売します。
・Lots of R&B 1冊
・Fragments Extra(カラー版) 1部
・チャイニーズコインワンダラーサイズ 3枚
・CCC用リボン 1本
・アルスバック赤青 各1デック
・アルスバックギャフ 2枚
・タックシール 1セット
・バイシクル製ポーカーチップ 2枚 (2018.8.9追記)
・??? (2018.8.9追記)
以上セットで4000円です。
また、CCC用リボンについては、希望者で先着数名様までおまけにつけようかと思っています。なくなった場合はご容赦ください。
あらためて、よろしくお願いします。
※2018.8.9追記2
おまけ冊子「Fragments Extra」につきまして、コピ本という性質上数に限りがございます。
十分な数は準備していくつもりですが、もし無くなった場合はご容赦ください。
マジックマーケット2018に出展します(1)
マジックマーケットという国内最大級(といっても過言ではない)の手品イベントhttp://www.tozakiweb.com/magicmarket2018に、出展します。
去年は(悪ふざけ)合同本企本ASIS
https://kyouju.hateblo.jp/entry/20170814/1502719445
に参加させてもらいましたが、今年はサークル「とりのす」という名前で個人でブースを作ってやります。
で、ものとしては、
レクチャーノート「Lots of R&B(仮)」を一冊出す予定です。
また今回はマジケ限定特典として、同じく北海道のマジシャンであるkeigo君のコイン作品2つが掲載されたミニ冊子がおまけとしてつきます。すぐできる簡単なものと、練習が必要な難しいものが1つずつとバランス良い感じです。
ノートの内容としては、「赤と青」2色のカードを使う手品を6.5個。プロットとしてはコレクターやビジター、ホフジンサーなどを紹介します。
それとボーナストリックとして、普通のデック1つでできる個人的に気にいってるカードトリック2つと簡単にできる気がするノーエキストラのCCCを紹介する予定です。
多分あと1週間程度で完成させて入稿できるんじゃないかなぁと思っています。
また全て完了したらこちらで報告したいと思います。
なお値段は1000円になる予定です。
よろしくお願いいたします。
ゆうきとも1DAYマジックセミナー in Sapporo 8月26日(日)
既にTwitterなどでも宣伝させていただきましたが、正式な宣伝です。
2018 ゆうきとも1DAYマジックセミナー in Sapporo
8月26日(日) 札幌市中央区民センター(つどいB)
1:クロースアップ・ワークショップ 10:00~12:00
参加費4千円 定員6名
カード、コインの有名プロットにおける、ゆうきの理論と実践を、体を動かしながら、じっくり少人数で学んでください。
〇4枚のコインだけで演じられるチンカチンク2種類とその構成について。
〇一組で演じる「Do as I do」 と、単純にして不思議な読心術の演出方法。
〇「ツイスティングエーセス」や「ジャンピング・ジェミニ」をどのように提供すべきか?
2:クロースアップ&サロンマジック セミナー 13:30~15:10
参加費2千円 定員20名
数人を対象としたクロースアップマジック、30名程度までを対象としたサロンマジックを、ゆうきともが厳選してじっくりと演技解説します。
(予定される内容)
〇コインマジックの最高峰!テリー・リンのセブンペニートリックの調理法
〇ショートカット ロープマジックの心理学
消耗しないロープトリックをリアルに演じるためのコツ
〇シンプルでクリーンなワイルドカード ※初公開!
〇ライジング4 テーブルを使わない4カードオープナー
〇エイプリルフール2 4人の思ったカードをズバリと当てる! ※初公開!
3:クロースアップルーティン・レクチャー 16:00~17:40
参加費3千円 定員20名
浜松 仙台 名古屋で好評であった、スペシャルなレクチャーです。10名程度の観客を対象とした、約20分間のカ
ード&コインマジックを演技し、そのあとでトリックだけではなく、その構成の仕方など、手順のすべてを公開します。
(予定される内容)
〇4カードオープナー フェイドアウト・エーセス サインドカード・プラス
コインアセンブリ4.5 5カードモンテ・プラス他
4 18:30~19:30 特別企画を検討中!
(8.14追記)
イベント決定しました!
この時間では、ゆうきともさんと僕を含めた有志の演者によるミニライブを行います!
僕の大先輩で、ご自身のトリックをノート「魔法修行9」で発表されたこともある綾部さんという方も演者として立ちます。マジックの知識が豊富で、演者としてもとても上手い方です。
価格は1000円になります。
よろしくお願いします。
※申し込み等は 綾部祥巳 tnwxg125@ybb.ne.jp までお願いします。
リアルで個人的に僕と知り合いの方は、僕に申し込み及び質問などをしていただいてもかまいません。
とてもお得で、ためになるレクチャー会だと思います。
お時間ある方は是非ご参加ください。
よろしくお願いします。