台場のんと奇妙なテジナ
『黒魔道会活動記録【問題編】・【解答編】』,S.Takeyama,2021,PDF
マジックマーケット2021・春で頒布された世にも珍しい、テジナの種ハウダニット短編小説。まず【問題編】が0円で1日目に頒布され、2日目から【解答編】が500円で頒布されるという珍しい形態。
まずこの新しい試みとその内容がマジックマーケットというか、同人ぽくて最高ですね。
内容は主人公の「私」、とかわいいヒロイン?の「台場のん」ちゃんが、「マジハラ先輩」ともいわれる先輩が行った手品の種を考える、といった構成になっています。
ご丁寧にヒントや誘導があり、【読者への挑戦】まであります。
この小説内で行われているテジナは実際に可能であり、それでいてすごく難しい操作を要求されるわけではありません。1ネタ500円(小説付き)ともいえるかもしれません。
小説自体はとてもよくできていて、単純に読むだけでも楽しいと思います。
トリックについては詳しく触れるとネタバレになってしまうのでここでは触れませんが、普通にいいトリックだなぁと思います。作者さんをよく知るGさん(仮名)によると、以前作者さんが発表したトリックのセルフ改案説が濃厚だとか。
私の方はというと、何日か考えてようやく答えっぽいものにたどり着くことができました。あと1枚がわからなかったんですよね……。【解答編】を確認したところ、完璧ではなかったですが、9割方あってたのでよしとします。
とにかく、おもしろい手品のトリックを覚えつつ、小説まで読めるとてもお得な一品なので、機会があればぜひご覧ください(再販予定は不明ですけど)。
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どうでもいいことなのですが、この「台場のん」ちゃん、もちろん元ネタは偉大なるプロフェッサー・ダイ・バーノン氏から来ているわけですが、実は私もだいぶ前にマジシャンの擬人化(?)小説いけるかなと考えてた時の主役のうちのひとりと完璧に同じ名前でした。
そのとき考えてたタイトルは「台場のんの奇妙な冒険」。
元ネタはもちろんアレで、能力名は「フール・フーディニ」(小さなことだけれど、必ず相手をだますことができる能力)。近距離パワー型です。